不眠の子守唄

書評ブログ。たまに洋楽や美術館。読書は海外文学・新書・古典etc... 不定期更新

殺人犯はなぜ殺人を起こしたかに迫るノンフィクション・ノベルートルーマン・カポーティ『冷血』あらすじ・考察

トルーマン・カポーティというと『ティファニーで朝食を』のイメージが強いが、ノンフィクション・ノベルという分野を開拓した小説家でもある。カポーティが「ノンフィクション・ノベル」という境地を開いた作品こそ、この『冷血』"In Cold Blood"である。

私自身このブログでよく紹介しているように海外文学が好きで、それに加えてもともとノンフィクションが好き(たとえば殺人事件や飛行機事故などについてのWikipediaを読んだりするのも好き)なのだが、その二つがアウフヘーベンされたのがこの作品である。

ノンフィクションと海外文学が好きな人には絶対の自信を持ってお薦めしたいこの作品について、今回は紹介したいと思う。

冷血 (新潮文庫)

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アーサー・C・クラーク『幼年期の終わり』あらすじ・感想ー主人公は地球人なのか? 宇宙人なのか?

アーサー・C・クラーク『幼年期の終わり』という作品がある。

作者アーサー・C・クラークは、映画『2001年宇宙の旅』の原作者としても知られているSFの大家で、代表作である『幼年期の終わり』もSFの古典として知られている。

この作品を初めて読んだのは中学生の時だったが、最近読みなおしたら昔と違う印象を受けたので、感想を書いておこうと思う。

幼年期の終り

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ノベライズ不能の超展開ー藤本タツキ『チェンソーマン』は、人生で最狂のマンガかもしれない

ここ10年くらい週刊誌なんて買っていなかったが、最近10年ぶりに週刊少年ジャンプを買っている

鬼才・藤本タツキによる『チェンソーマン』というマンガがあまりに急展開過ぎて、単行本を待つことができなくなったからである。再来月(2020年11月)に第9巻が出るらしいが、日々Twitterなどで断片的なネタバレを食らううちに、単行本が待てなくなりジャンプ本誌を買うことにした。

評価と好みが分かれる作品なようだが、今回は『チェンソーマン』の面白さについて書いていきたい。もちろん連載中の作品についての評価なので後々評価を覆さざるを得ないかもしれないが、個人的には今一番面白いマンガだと思う。

  • チェンソーマン』の面白さ
    • テンポの良さと言語センス
    • 主人公デンジのバカっぷり
    • 意味不明な展開
  • チェンソーマン』はノベライズ不能である
  • おわりに

チェンソーマン 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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人間の堕落を耽美的に描いた名作ーオスカー・ワイルド『ドリアン・グレイの肖像』あらすじ・感想

私が海外小説を好んで読み、イギリスの音楽を好んで聴いている原点はオスカー・ワイルド『ドリアン・グレイの肖像』かもしれない。

私はこの作品に中学校の頃に出会ったが(学校の図書委員会の会誌などで紹介されていた気がするが...... よく思い出せない)。『ドリアン・グレイの肖像』は、退廃的で、非道徳的で、だけど劇的なクライマックスもあって、私が今までに読んだどの小説とも違う感じがした。

改めて読んでみても、やっぱり好きな作品である。今回は、この作品について紹介したい。

  • 『ドリアン・グレイの肖像』あらすじ
  • 『ドリアン・グレイの肖像』の魅力
  • おわりに
    • 『ドリアン・グレイの肖像』を無料で読む

ドリアン・グレイの肖像 (新潮文庫)

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ロシア文学入門! 甘酸っぱいようで衝撃的な恋愛小説ーツルゲーネフ『はつ恋』あらすじ・感想

ロシア文学と言えばドストエフスキートルストイの二大巨頭があまりに有名だが、この二大巨頭の作品を読むのはあまりに骨が折れる。

ーーそんなイメージでロシア文学を敬遠している人も多いかもしれない。

だが、ドストエフスキー作品と対極に属すような、短くて甘美な小説もロシア文学には多い

その中でも、今回は短く読みやすいにもかかわらず展開がドラマチックな、ツルゲーネフ『初恋』について紹介したい。

(最近はトゥルゲーネフと表記されることも多く、この記事が準拠する光文社古典新訳文庫版でもそう表記されているが、ここではツルゲーネフと表記することにする。)

初恋 (光文社古典新訳文庫)

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連載作品だけじゃない! 高橋留美子の短編集おすすめランキング【高橋留美子劇場】

1970年代後半~80年代の『うる星やつら』『めぞん一刻』に始まり、90年代の『らんま1/2』、2000年代の『犬夜叉』、2010年代の『境界のRINNE』、そして2020年現在連載中の『MAO』と、連載作品すべてがヒット作品という生ける伝説・高橋留美子

 

しかし、どの連載作品も10年近く連載が続いたヒット作品であるだけに、高橋留美子作品は初めて読む人にはハードルが高いかもしれない。

だが、その心配は無用である。

なぜなら、高橋留美子短編集もめちゃくちゃ面白いからである。今回は、高橋留美子の短編集をすべて読んできた私が、おすすめの短編集を紹介しようと思う。

高橋留美子劇場(1) (ビッグコミックス)

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萩尾望都『イグアナの娘』ー表題作以外も「毒親」を描いた珠玉の短編集【あらすじ・感想】

昨今、「毒親」などという言葉に代表されるように、いびつな家族・親子関係がクローズアップされることが多いように思う。

子供を愛せない親、愛さずに育ったことによる愛着障害、そして愛されなかった子供が親になっても愛し方がわからないという問題......

そのような親子関係を描いた古典的な作品として、少女漫画の巨匠・萩尾望都の短編「イグアナの娘」という作品がある。

この「イグアナの娘」という作品は短編で、菅野美穂主演のドラマでも有名な作品だが、実はこの作品を表題作とした短編集『イグアナの娘』は、どれも歪んだ家族を描いた珠玉の物語が収録された素晴らしい短編集なのである。

今回は、この短編集『イグアナの娘』について紹介したい。

  • 収録作品紹介
    • イグアナの娘」あらすじ・感想
      • あらすじ
      • 感想
    • 「帰ってくる子」あらすじ・感想
    • カタルシス」あらすじ・感想
    • 「午後の日射し」あらすじ・感想
    • 「学校へ行くクスリ」あらすじ・感想
    • 「友人K」あらすじ・感想
  • 短編集『イグアナの娘』の魅力
    • 現代的なテーマ
    • 作者の投影
    • ハッピーエンドの多さ
  • おわりに

イグアナの娘 (小学館文庫)

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