不眠の子守唄

書評ブログ。たまに本以外も。読書は海外文学、音楽は洋楽多め。不定期更新

ノーベル文学賞作家

ノーベル文学賞作家の作品などについてまとめています。

カズオ・イシグロ『クララとお日さま』の不気味さ【感想・考察】

カズオ・イシグロがノーベル文学賞を受賞してから初の長編小説である『クララとお日さま』が、ついに刊行された。 「AIと少女の交流を描く感動の物語」という触れ込みの本作品だったが、実際に読んでみると、かなり不気味な作品である。「美しい小説」を求め…

【文庫1冊以内】初心者におすすめの海外文学10選!

海外文学は、長くて読み始めるのに勇気がいる作品が多い。でも、読んでみると日本の小説と違った面白さがある。 今回は、文庫本一冊で読める、はじめて海外文学を読むという方にも遠慮なくお薦めできる海外文学を紹介したい。 以前より、このブログの「海外…

人はどう生きるか?―J.M.クッツェー『マイケル・K』あらすじ・感想

ひさびさにノーベル文学賞作家の作品を紹介したい。 今回紹介するのは、南アフリカの作家J.M.クッツェーの『マイケル・K』だ。 内戦下の南アフリカを舞台にした小説で、やはり日本の小説にはない魅力がある。 『マイケル・K』あらすじ 『マイケル・K』感想・…

とてつもない難解さゆえの中毒性―フォークナー『響きと怒り』あらすじ・感想

読んでいて、あまりに理解が追い付かなくて笑ってしまった小説がある。 「こんなのわからねーよ!」と、読んでいながらツッコんでしまうのである。 その作品こそ、ノーベル文学賞作家ウィリアム・フォークナーの代表作『響きと怒り』である。だが、もちろん…

フォークナー『八月の光』あらすじ・感想ー「黒人でも白人でもない」人間の孤独と悲劇

8月中に読み終えたいと思っていた本をようやく読み終えた。 それが、この本。1949年のノーベル文学賞を受賞したことでも知られる、アメリカ文学の大家ウィリアム・フォークナーの『八月の光』である。 折しもBLM(Black Lives Matter)などでアメリカの人種…

バーナード・ショー『ピグマリオン』あらすじ・感想ー稀代の皮肉屋が描くアンチ・ラブストーリー

バーナード・ショーの『ピグマリオン』といえば、あのオードリー・ヘップバーンが主演した映画「マイ・フェア・レディ」の原作としても有名である。 だが、この二つの作品は、実は全く違う結末の作品なのである。 「マイ・フェア・レディ」はいわゆるシンデ…

カミュ『異邦人』の主人公ムルソーは「サイコパス」か「正直者」か?【あらすじ・考察】

ボーガンによる殺人事件というニュースを見た。亡くなられた方のご冥福をお祈りする。 不謹慎ながら、私がボーガンと聞いて思い出すのは、ドラマ『相棒』Season1 第5話「目撃者」という話である。 小学校周辺で起きたボーガンによる殺人事件を題材とした話な…

主人公への違和感の正体は?ーカズオ・イシグロ『わたしを離さないで』あらすじ・考察

カズオ・イシグロの最高傑作は? と聞かれたら、この『わたしを離さないで』を推す人は多いのではないだろうか。 私は正直に言うとこの問いには『日の名残り』と答えてしまうのだが、『わたしを離さないで』も名作であることには間違いないし好きな作品であ…

カズオ・イシグロ『日の名残り』あらすじ・感想ー人生の哀しさと楽しさを描いた名作

小説の主人公というものは、たいてい並外れた知性や洞察力の持ち主であることが多い。でも、カズオ・イシグロの『日の名残り』(土屋政雄訳)は、この原則にまったく反する。 「普通の人」が人生の夕暮れに差しかかったときに、ふと自分の人生とは何だったの…

死ぬまでに読みたい海外文学の名作100選

海外文学が好きだ。他国の歴史や文化を感じることができるからだ。そして、なんといっても海外文学を読んでいると、文学批評から歴史まで、いろいろな知識がつながるのが良い。教養人になった気分になるし、実際けっこう教養が身についているんじゃないかと…

歴代ノーベル文学賞受賞者と、受賞理由まとめ【1901年~2020年】

表題の通り、ノーベル文学賞受賞作家についてまとめてみました。 ノーベル賞120年の歴史はあまりに長いので、のんびり見たり流し読みしながら見てください。 「ノーベル文学賞受賞作家は(入手できる限り)全員読む」のをライフワークにしたいのだが、どれく…

ガルシア・マルケス『百年の孤独』で海外文学の陶酔に浸るーラテンアメリカの熱情と魔術的幻想の神話

ガブリエル・ガルシア・マルケス「百年の孤独」という作品がある。同名の酒の元ネタである(多分)。 この作品は、「20世紀の傑作」ランキングなどでたいてい上位にランクインする作品(特に新潮社のランキングでは第一位にランキングしている)であり、その…