不眠の子守唄

書評ブログ。たまに本以外も。読書は海外文学、音楽は洋楽多め。不定期更新

古典的名作

古典的な名作と呼べる作品を集めています。

【文庫1冊以内】初心者におすすめの海外文学10選!

海外文学は、長くて読み始めるのに勇気がいる作品が多い。でも、読んでみると日本の小説と違った面白さがある。 今回は、文庫本一冊で読める、はじめて海外文学を読むという方にも遠慮なくお薦めできる海外文学を紹介したい。 以前より、このブログの「海外…

人間性と芸術のあいだーモーム『月と六ペンス』あらすじ・感想

タイトルが秀逸な小説と聞かれて真っ先に思い浮かぶのが、サマセット・モームの『月と六ペンス』という小説だ。 この小説は、パリでの実業家生活ののち画家に転身し、晩年はタヒチで暮らした画家ポール・ゴーギャンをモデルにした小説だ。今回は、この小説に…

男も憧れるカッコよさ―『シラノ・ド・ベルジュラック』あらすじ・感想

エドモン・ロスタンの戯曲『シラノ・ド・ベルジュラック』は、男のロマンみたいなところがある。 容姿に恵まれない主人公の恋が実る話だからだ。でも、そんな「ありがちの話」と思ってもらっては、困る。シラノ・ド・ベルジュラックの内面は本当にかっこいい…

人はどう生きるか?―J.M.クッツェー『マイケル・K』あらすじ・感想

ひさびさにノーベル文学賞作家の作品を紹介したい。 今回紹介するのは、南アフリカの作家J.M.クッツェーの『マイケル・K』だ。 内戦下の南アフリカを舞台にした小説で、やはり日本の小説にはない魅力がある。 『マイケル・K』あらすじ 『マイケル・K』感想・…

ジェイムズ・ジョイス『若い藝術家の肖像』あらすじ・感想ー文学青年の意識の流れ

ジェイムズ・ジョイスの『若い藝術家の肖像』を読んだ。 最初に正直に感想を書くと、かなり難解であった。もちろん難解さを承知で読む人がほとんどだろうが、海外文学への入門として読むことはあまりおすすめしない。 とはいっても、ジェイムズ・ジョイスの…

スタンダール『恋愛論』考察・解説ー恋はどうやって生まれるのか?

恋が始まるには、ほんの少しの希望があれば十分です。 ――スタンダール という引用から始まるとあるマンガがあるが、さらに言えばこの言葉はスタンダールの『恋愛論』第三章冒頭からの引用である。 『恋愛論』という本は、恋愛について論じた本としては古典中…

ジョージ・オーウェル『動物農場』あらすじ・考察ー歴史は繰り返すのか?

ジョージ・オーウェルと言えば監視社会を描いた『一九八四年』が有名だが、オーウェルの出世作である『動物農場』も代表作として知られている。 『動物農場』(Animal Farm)は、副題が「おとぎばなし」(A Fairy Story)であるように、動物たちを主人公とし…

衝撃的で深甚なゲイ小説―三島由紀夫『禁色』あらすじ・感想

今月25日で三島由紀夫の没後50年である。 三島由紀夫といえば「同性愛」のイメージがつきまとうが、その中でも『禁色』(きんじき)という作品は、同性愛をテーマにしながらエンターテイメント的にも非常に面白い作品である。 同性愛をテーマにした小説で、…

とてつもない難解さゆえの中毒性―フォークナー『響きと怒り』あらすじ・感想

読んでいて、あまりに理解が追い付かなくて笑ってしまった小説がある。 「こんなのわからねーよ!」と、読んでいながらツッコんでしまうのである。 その作品こそ、ノーベル文学賞作家ウィリアム・フォークナーの代表作『響きと怒り』である。だが、もちろん…

絶対に手に入れられない虚しさ―トルーマン・カポーティ『ティファニーで朝食を』あらすじ・考察

トルーマン・カポーティの『冷血』を読んだらめちゃくちゃ面白かったので、カポーティの代表作『ティファニーで朝食を』を読み返してみた。 (『冷血』についてはこちらの記事で書いた) 『ティファニーで朝食を』は、映画だとどのような評価になるのかはわ…

第二次世界大戦×SFの名作―『スローターハウス5』感想・考察

こういうと語弊を招くが、私は戦争文学が好きである。 戦争は絶対に繰り返してはいけないと思っているし、体験したくもない。 しかし、だからこそ戦争に巻き込まれた人々の記憶は継承されるべきであると考えているし、文学作品に描かれた戦争に巻き込まれた…

つまらないのに、印象に残る不思議な作品―フランツ・カフカ『城』あらすじ・感想

海外文学の名作と言われるものは、確かに難解なものは多いけれど、たいていどこか興奮できるような箇所があるものである。 でも、率直に「つまらない」と思った作品もあった。 私の中でのその代表が、フランツ・カフカの『城』である。 この作品を読んでいる…

クンデラの最高傑作は『冗談』だと思う【あらすじ・感想】

ミラン・クンデラが2020年のフランツ・カフカ賞を受賞したらしい。フランツ・カフカ賞というのは、2006年に村上春樹が受賞したことで日本でもよく知られるようになった、チェコの文学賞である。 クンデラといえば、『存在の耐えられない軽さ』があまりに有名…

殺人犯の心理に迫るノンフィクション・ノベルーカポーティ『冷血』あらすじ・考察

トルーマン・カポーティというと奔放な女性を描いた『ティファニーで朝食を』のイメージが強いが、ノンフィクション・ノベルという分野を開拓した小説家でもある。カポーティが「ノンフィクション・ノベル」という境地を開いた作品こそ、この『冷血』("In C…

アーサー・C・クラーク『幼年期の終わり』あらすじ・感想ー主人公は地球人なのか? 宇宙人なのか?

アーサー・C・クラークの『幼年期の終わり』という作品がある。 作者アーサー・C・クラークは、映画『2001年宇宙の旅』の原作者としても知られているSFの大家で、代表作である『幼年期の終わり』もSFの古典として知られている。 この作品を初めて読んだのは…

人間の堕落を耽美的に描いた名作ーオスカー・ワイルド『ドリアン・グレイの肖像』あらすじ・感想

私が海外小説を好んで読み、イギリスの音楽を好んで聴いている原点はオスカー・ワイルドの『ドリアン・グレイの肖像』かもしれない。 私はこの作品に中学校の頃に出会ったが(学校の図書委員会の会誌などで紹介されていた気がするが...... よく思い出せない…

ロシア文学入門! 甘酸っぱいようで衝撃的な恋愛小説ーツルゲーネフ『はつ恋』あらすじ・感想

ロシア文学と言えばドストエフスキーとトルストイの二大巨頭があまりに有名だが、この二大巨頭の作品を読むのはあまりに骨が折れる。 ーーそんなイメージでロシア文学を敬遠している人も多いかもしれない。 だが、ドストエフスキー作品と対極に属すような、…

ナボコフ『ロリータ』にまつわる誤解―『ロリータ』あらすじ・感想

いわゆる「ロリコン」や「ロリキャラ」あるいは「ゴスロリ」「ロリータファッション」などの「ロリ」というのは、ロシア出身のアメリカの作家ウラジーミル・ナボコフの小説『ロリータ』に登場する少女ドロレス・ヘイズの愛称「ロリータ」に由来している。 「…

フォークナー『八月の光』あらすじ・感想ー「黒人でも白人でもない」人間の孤独と悲劇

8月中に読み終えたいと思っていた本をようやく読み終えた。 それが、この本。1949年のノーベル文学賞を受賞したことでも知られる、アメリカ文学の大家ウィリアム・フォークナーの『八月の光』である。 折しもBLM(Black Lives Matter)などでアメリカの人種…

安部公房『砂の女』あらすじ・考察ー外出自粛の経験から、囚われの男に思いを馳せる

一人でふらっと電車で遠出をする。駅を降りて、見知らぬ街をふらりと歩く。 私は、そういう小旅行が好きだ。でも、そうしていると時々「今、自分が誰かに連れ去られた時、知人や家族は自分を見つけ出してくれるのだろうか?」という不安に襲われることもある…

バーナード・ショー『ピグマリオン』あらすじ・感想ー稀代の皮肉屋が描くアンチ・ラブストーリー

バーナード・ショーの『ピグマリオン』といえば、あのオードリー・ヘップバーンが主演した映画「マイ・フェア・レディ」の原作としても有名である。 だが、この二つの作品は、実は全く違う結末の作品なのである。 「マイ・フェア・レディ」はいわゆるシンデ…

ミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ』が不朽の名作である理由

私は寝る前に本を読むのだが、私の「寝る前に読む本」シリーズで最高に素晴らしかったのが、このミラン・クンデラの『存在の耐えられない軽さ』である。 正直、この本は恋愛小説としてはつまらないかもしれない。だから集英社文庫の帯にある「20世紀恋愛小説…

カミュ『異邦人』の主人公ムルソーは「サイコパス」か「正直者」か?【あらすじ・考察】

ボーガンによる殺人事件というニュースを見た。亡くなられた方のご冥福をお祈りする。 不謹慎ながら、私がボーガンと聞いて思い出すのは、ドラマ『相棒』Season1 第5話「目撃者」という話である。 小学校周辺で起きたボーガンによる殺人事件を題材とした話な…

三島由紀夫『美しい星』あらすじ・考察ー異端のSF、だけど三島ワールド

三島由紀夫に『美しい星』という作品がある。 三島作品としては異色なSF的作品であり、「変わった作品」とみられることが多い。 しかし、私は三島作品の中でこの作品が一番好きかもしれない。それはこの小説が、私の初めて読んだ三島作品だからでもあるのだ…

Kindle Unlimitedで読み放題で読める、おすすめのドイツ文学の古典的名作15選

Kindle Unlimited(キンドルアンリミテッド)というサービスがある。音楽のサブスクリプションと違い、ほとんどの電子書籍が読み放題というわけにはいかないが、非常に多くの本を定額で読むことができるサービスである。 ビジネス書なども多く読み放題のライ…

Kindle Unlimitedで読み放題で読める、おすすめのフランス文学の古典的名作25選

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Kindle Unlimitedで読み放題で読める、おすすめのアメリカ文学の古典的名作25選

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Kindle Unlimitedで読み放題で読める、おすすめのイギリス文学の古典的名作25選

Kindle Unlimited(キンドルアンリミテッド)というサービスがある。音楽のサブスクリプションと違い、ほとんどの電子書籍が読み放題というわけにはいかないが、非常に多くの本を定額で読むことができるサービスである。 ビジネス書なども多く読み放題のライ…

『捜神記』こそ、面白い漢文教材である―三国時代の不思議な逸話集

私は漢文がものすごく好きなのだが、世の中には漢文が嫌いな人も多いようで悲しんでいる。 この原因は、おそらく句法の暗記などのめんどくささがあるだろう。確かに句法の暗記というものは面倒である。 しかし、そのような「めんどくさい」技能を少し頑張っ…

ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』あらすじ・感想ーあえて「ブラックユーモア」として考察する

ダニエル・キイスの『アルジャーノンに花束を』といえば、「知能を高めることが幸福なのか?」といった「幸福」について問うているSF作品としてや、ラストの場面に感動する心温まる作品として、また文学的には、主人公の「手記」という形をとることで、主人…