不眠の子守唄

書評ブログ。たまに洋楽や美術館。読書は海外文学・新書・古典etc... 不定期更新

宗教・哲学・思想

「人生の尊さ」を考える、漫画の神様のマンガ哲学ー手塚治虫『ぼくのマンガ人生』書評・感想

岩波新書には多少「お堅い」イメージがあるが、もちろん例外もある。 その最たる例が、手塚治虫『ぼくのマンガ人生』だろう。 この本は、日本を代表する漫画家・手塚治虫の講演をまとめた本であり、最後の30ページほどはマンガであることもあって非常に読み…

ブタ・牛・昆虫… 動物たちを「裁判」にかけて処刑した文化の謎を解く!?ー池上俊一『動物裁判』書評・感想

最近、各書店の新書売り上げランキングなどで、池上俊一『動物裁判 西欧中世・正義のコスモス』(講談社現代新書)という本が上位にランクインしていることが多い。 この本は30年も前の本なのであるが、どうやら、ラジオ番組をきっかけにある書店が売り出し…

アーレントの伝記を読みたいならこの一冊ー矢野久美子『ハンナ・アーレント』(中公新書)レビュー・感想

今日(4月11日)、中公新書公式アカウントがこんなツイートをしていた。 1961年4月11日、ユダヤ人大量虐殺に深く関わったアイヒマンの裁判がエルサレムで始まりました。政治哲学者ハンナ・アーレントが傍聴して発表した裁判記録は、論争に発展。矢野久美子著…

マスク不足の今こそ、デスマスクの歴史を読み直そう?!ー岡田温司『デスマスク』レビュー・感想

「マスク」が何かと話題な今日この頃である。関連してというわけでもないが岡田温司『デスマスク』(岩波新書)を読んだ。 「デスマスク」について、その歴史と、西洋においてそれが持った意味について記されている良書である。この本を手に取った時はある意…

【書評・感想】「『現代思想』2016年10月号 緊急特集 相模原障害者殺傷事件」を読む

昨日、相模原障害者殺傷事件の植松被告に死刑判決が下ったことで、自分の胸に去来することについて書きつらねた。 moriishi-s.hatenablog.com だが、しっかりとこの事件についての論評を読むことも大切なのではないかと考え、今更ながら「現代思想 2016年10…

人類の神話はどう分岐した?比較神話学の入門書-後藤明『世界神話学入門』書評・感想

世界の神話は、不思議と似たような関係を持っているものがあるということは、よく知られた事実だろう。古代メソポタミア時代に成立した人間最古の物語の一つ、ギルガメシュ叙事詩には「大洪水」が描かれており、これの話は、旧約聖書「創世記」中の「ノアの…

「科学」と「宗教」「神」は両立しうるのか?ー三田一郎『科学者はなぜ神を信じるのか』書評・感想

三田一郎「科学者はなぜ神を信じるのか コペルニクスからホーキングまで」を読んだので感想を記す。 「科学者はなぜ神を信じるのか」概要 キリスト教信仰のもとに成り立った近代科学 現代の科学者と「神」の関係 「弁神論」としての本書と物理学