美学・芸術学・文学論
恋が始まるには、ほんの少しの希望があれば十分です。 ――スタンダール という引用から始まるとあるマンガがあるが、さらに言えばこの言葉はスタンダールの『恋愛論』第三章冒頭からの引用である。 『恋愛論』という本は、恋愛について論じた本としては古典中…
ピエール・バイヤール『読んでいない本について堂々と語る方法』という本がある。 最初この本を書店で見た時、「変なハウツー本が出てる......」と少し軽蔑した目で見てしまったのだが、一方で、この本に対しての興味を抑えられなかったのも事実であった。 …
小説とマンガ、あるいは映画の中で、どれが一番優れているのか? 私は、この問いは愚問だと思う。どの媒体にも優れた点はあり、そもそも比較できるものではないからである。 だが、例えば「小説にしかできない表現はない」という意見があるとしたら、私は絶…
岩波新書には多少「お堅い」イメージがあるが、もちろん例外もある。 その最たる例が、手塚治虫『ぼくのマンガ人生』だろう。 この本は、日本を代表する漫画家・手塚治虫の講演をまとめた本であり、最後の30ページほどはマンガであることもあって非常に読み…
フランス文学の一番楽しく読める入門書は?ーーと聞かれたら、この鹿島茂『悪女入門』(講談社現代新書)を薦める。 この『悪女入門』という本、その名の通り男を誘惑し破滅させる「悪女」(ファム・ファタル)になるためのハウツー本なのであるが、そのテキ…
このブログのコンテンツの一つに、「美術館・展覧会」を掲げている。 だが、ブログの記事を書くようになってから、新型コロナウイルスの影響で全く美術館に行けなくなってしまった。というわけで、美術館に行けずフラストレーションがたまっていると同時に、…
荒木飛呂彦『荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論』を読んだ。著者はご存知の通り、「ジョジョの奇妙な冒険」の作者である。 この本は、「ホラー映画の入門書」「おすすめのホラー映画の載ったハンドブック」としても面白いし、また、荒木飛呂彦先生がどのような…
展覧会によく行く人は、きっと次のように思うときがあるだろう。 「展覧会に行きそびれた!」とか、「あの展覧会で展示されていた作品を思い出したい!」 とか、あるいは「もう一度あの展覧会を体験したい!」という感情である。 そんな時に展覧会の図録があ…