不眠の子守唄

書評ブログ。たまに洋楽や美術館。読書は海外文学・新書・古典etc... 不定期更新

西洋史

ミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ』が不朽の名作である理由

私は寝る前に本を読むのだが、私の「寝る前に読む本」シリーズで最高に素晴らしかったのが、このミラン・クンデラの『存在の耐えられない軽さ』である。 正直、この本は恋愛小説としてはつまらないかもしれない。だから集英社文庫の帯にある「20世紀恋愛小説…

ブタ・牛・昆虫… 動物たちを「裁判」にかけて処刑した文化の謎を解く!?ー池上俊一『動物裁判』書評・感想

最近、各書店の新書売り上げランキングなどで、池上俊一『動物裁判 西欧中世・正義のコスモス』(講談社現代新書)という本が上位にランクインしていることが多い。 この本は30年も前の本なのであるが、どうやら、ラジオ番組をきっかけにある書店が売り出し…

知られざるドイツ文化の一面に迫る!?―篠田航一「ヒトラーとUFO 謎と都市伝説の国ドイツ」書評・感想

平凡社新書はけっこうおもしろい本が多いと思っていて、本書もその一つである。 副題に「謎と都市伝説の国ドイツ」とあるように、本書はドイツの都市伝説について記した本である。「ヒトラーが宇宙人と接触していた!!」みたいな内容ではないのでご注意いた…

アーレントの伝記を読みたいならこの一冊ー矢野久美子『ハンナ・アーレント』(中公新書)レビュー・感想

今日(4月11日)、中公新書公式アカウントがこんなツイートをしていた。 1961年4月11日、ユダヤ人大量虐殺に深く関わったアイヒマンの裁判がエルサレムで始まりました。政治哲学者ハンナ・アーレントが傍聴して発表した裁判記録は、論争に発展。矢野久美子著…

子どもを美術館に連れていけない時に、お薦めの名画集ー「おはなし名画シリーズ」で自宅で美術体験ー

このブログのコンテンツの一つに、「美術館・展覧会」を掲げている。 だが、ブログの記事を書くようになってから、新型コロナウイルスの影響で全く美術館に行けなくなってしまった。というわけで、美術館に行けずフラストレーションがたまっていると同時に、…

マスク不足の今こそ、デスマスクの歴史を読み直そう?!ー岡田温司『デスマスク』レビュー・感想

「マスク」が何かと話題な今日この頃である。関連してというわけでもないが岡田温司『デスマスク』(岩波新書)を読んだ。 「デスマスク」について、その歴史と、西洋においてそれが持った意味について記されている良書である。この本を手に取った時はある意…

二月革命から十月革命 ロシア革命を学ぶならこの一冊ー池田嘉郎『ロシア革命 破局の8か月』書評・感想

3月8日は「国際女性デー」である。 実はこの「国際女性デー」は、東欧の国々には交際「女性の権利向上のための記念日」以上の存在感を持っている。それは、1917年の国際女性デーにペトログラード(現サンクトペテルブルク)で起きたデモがきっかけとなり、「…

常軌を逸した戦争に駆り立てた観念とは何だったのかー新書大賞・大木毅『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』書評・感想

新書大賞2020も受賞した、大木毅「独ソ戦」(岩波新書)を読んだ。 なるほど新書大賞を受賞するだけのことはあり、面白かった。この本を読んで、考えたことについて記していきたい。 著者について なぜ「新書大賞」をとれたのか? 「世界観戦争」と「収奪戦…

エルヴィン・ロンメルとは何者か?立身から死まで描いた伝記ー大木毅『「砂漠の狐」ロンメル ヒトラーの将軍の栄光と悲惨』書評・感想

大木毅「『砂漠の狐』ロンメル」を読んだので、感想を記そうと思う。 結論から言えば、非常に面白い本であったと思っている。 本書の概要ーロンメルとは何者か 物語としての面白さ 「面白すぎる」新書