不眠の子守唄

書評ブログ。たまに本以外も。読書は海外文学、音楽は洋楽多め。不定期更新

近現代日本文学

近現代(明治以降)の日本文学をまとめています。現代作家もこのカテゴリーに含まれます。

宇佐美りん『推し、燃ゆ』は、若者だけの話ではない【感想・考察】

芥川賞になった『推し、燃ゆ』を読んだ。 結論から言うと、主人公にあまり共感は出来なかった。だが、主人公に共感できないというのは、小説が面白くないということではない。小説としては「推し」という現代的なテーマを純文学で描いたという点で画期的で、…

衝撃的で深甚なゲイ小説―三島由紀夫『禁色』あらすじ・感想

今月25日で三島由紀夫の没後50年である。 三島由紀夫といえば「同性愛」のイメージがつきまとうが、その中でも『禁色』(きんじき)という作品は、同性愛をテーマにしながらエンターテイメント的にも非常に面白い作品である。 同性愛をテーマにした小説で、…

星新一の作品を大人にこそおすすめしたい理由【ショートショートの神様】

僕の中学時代の読書体験の80%は星新一で出来ていると言ってよい。 しかし、中学から高校に入ると、僕は星新一を「卒業」してしまった。 それは、一つには星新一作品をほぼ読みつくしたからであるが、もう一つには高校生になって星新一を読んでいるのはダサい…

安部公房『砂の女』あらすじ・考察ー外出自粛の経験から、囚われの男に思いを馳せる

一人でふらっと電車で遠出をする。駅を降りて、見知らぬ街をふらりと歩く。 私は、そういう小旅行が好きだ。でも、そうしていると時々「今、自分が誰かに連れ去られた時、知人や家族は自分を見つけ出してくれるのだろうか?」という不安に襲われることもある…

三島由紀夫『美しい星』あらすじ・考察ー異端のSF、だけど三島ワールド

三島由紀夫に『美しい星』という作品がある。 三島作品としては異色なSF的作品であり、「変わった作品」とみられることが多い。 しかし、私は三島作品の中でこの作品が一番好きかもしれない。それはこの小説が、私の初めて読んだ三島作品だからでもあるのだ…

内田百閒『百鬼園随筆』はここが面白い!

現代作家で誰の文章が好きかと聞かれたら、森見登美彦と答える。 森見登美彦の文体はやや古風なところがあり、面白いし独特なリズム感が大好きな作家である。そんな森見登美彦の文体に大きな影響を与えたのは、内田百閒だという(出典:作家の読書道:第65回…

遠藤周作『海と毒薬』あらすじ・感想ー世界を麻痺させる「毒薬」とは何か考察するー

「僕のヒーローアカデミア」(「ヒロアカ」)が最近(2020年2月)炎上し、週刊少年ジャンプ編集部が謝罪文を出すまでになった。さまざまな流言が流布しているが、文学好きとして思い出すのは遠藤周作「海と毒薬」だろう。作者遠藤周作は、この作品を通じて何…