不眠の子守唄

書評ブログ。たまに本以外も。読書は海外文学、音楽は洋楽多め。不定期更新

SF・ディストピア

SFとか、ディストピア小説についてまとめてあります。

ジョージ・オーウェル『動物農場』あらすじ・考察ー歴史は繰り返すのか?

ジョージ・オーウェルと言えば監視社会を描いた『一九八四年』が有名だが、オーウェルの出世作である『動物農場』も代表作として知られている。 『動物農場』(Animal Farm)は、副題が「おとぎばなし」(A Fairy Story)であるように、動物たちを主人公とし…

星新一の作品を大人にこそおすすめしたい理由【ショートショートの神様】

僕の中学時代の読書体験の80%は星新一で出来ていると言ってよい。 しかし、中学から高校に入ると、僕は星新一を「卒業」してしまった。 それは、一つには星新一作品をほぼ読みつくしたからであるが、もう一つには高校生になって星新一を読んでいるのはダサい…

第二次世界大戦×SFの名作―『スローターハウス5』感想・考察

こういうと語弊を招くが、私は戦争文学が好きである。 戦争は絶対に繰り返してはいけないと思っているし、体験したくもない。 しかし、だからこそ戦争に巻き込まれた人々の記憶は継承されるべきであると考えているし、文学作品に描かれた戦争に巻き込まれた…

アーサー・C・クラーク『幼年期の終わり』あらすじ・感想ー主人公は地球人なのか? 宇宙人なのか?

アーサー・C・クラークの『幼年期の終わり』という作品がある。 作者アーサー・C・クラークは、映画『2001年宇宙の旅』の原作者としても知られているSFの大家で、代表作である『幼年期の終わり』もSFの古典として知られている。 この作品を初めて読んだのは…

三島由紀夫『美しい星』あらすじ・考察ー異端のSF、だけど三島ワールド

三島由紀夫に『美しい星』という作品がある。 三島作品としては異色なSF的作品であり、「変わった作品」とみられることが多い。 しかし、私は三島作品の中でこの作品が一番好きかもしれない。それはこの小説が、私の初めて読んだ三島作品だからでもあるのだ…

ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』あらすじ・感想ーあえて「ブラックユーモア」として考察する

ダニエル・キイスの『アルジャーノンに花束を』といえば、「知能を高めることが幸福なのか?」といった「幸福」について問うているSF作品としてや、ラストの場面に感動する心温まる作品として、また文学的には、主人公の「手記」という形をとることで、主人…

主人公への違和感の正体は?ーカズオ・イシグロ『わたしを離さないで』あらすじ・考察

カズオ・イシグロの最高傑作は? と聞かれたら、この『わたしを離さないで』を推す人は多いのではないだろうか。 私は正直に言うとこの問いには『日の名残り』と答えてしまうのだが、『わたしを離さないで』も名作であることには間違いないし好きな作品であ…

ジョージ・オーウェル『1984年』考察ー二重思考を信じ込まされる馬鹿になってはいけない

20世紀に書かれた最高のイギリス文学は? というランキングで、たいてい1位に君臨するのが、このジョージ・オーウェル『一九八四年』である。 この作品は、いわゆる「ディストピア小説」である。その後のディストピア小説に大きな影響を与えたのはもちろん、…

カート・ヴォネガット『猫のゆりかご』あらすじ・感想ー描く世界に「真実はいっさいない」のか?

カート・ヴォネガット「猫のゆりかご」について感想を記す。 この「猫のゆりかご」を一読した当初は、正直なところあまりよくわからなかったと記憶している。だが、先日「タイタンの妖女」の感想を記したのをきっかけに再読し、この作品についてもだんだん理…

カート・ヴォネガット『タイタンの妖女』感想・考察ーなぜ、人類は「タイタン」へ行ったのか?

カート・ヴォネガット「タイタンの妖女」といえば、アメリカのSFの最高傑作のひとつともされる作品である。爆笑問題・太田光の最も愛する作品の一つとしても知られている。 1959年の作品ということもあって、古さを感じる場面は多くある。しかし、今でもSFの…

カート・ヴォネガット『タイタンの妖女』あらすじー人類の究極目的と自由意志とは何か?

「タイタンの妖女」あらすじ 記事が長くなりすぎたので、あらすじを別に分けます。 ネタバレありですが、登場人物を絞ったプロットを書いています。 ▼普通の感想はこちらから moriishi-s.hatenablog.com