不眠の子守唄

書評ブログ。たまに洋楽や美術館。読書は海外文学・新書・古典etc.

新型コロナウイルスからの隠遁生活を送るなら『デカメロン』を読もう

新型コロナウイルスの蔓延がいよいよ看過できない問題となってきた

 

休日も家に籠もることを余儀なくされている人は多々いるだろう。

しかし、暇を持て余すからといって、悲観することではない。いまどきAmazon Prime Videoとか、Netflixとか、暇つぶしのためのインターネットコンテンツはいくらでもある。

 

だが、この機会に本を読むというのも悪くない。そう思った方には、ぜひこのジョバンニ・ボッカチオデカメロンをお薦めしたい。

 

というのも、このデカメロン」は、かつて感染症(ペスト)が広まる中で、そこから逃れていた逃れていた人々によって語られた逸話ーという設定の短編集だからである。

デカメロン

デカメロン」の語源

デカメロン」といえば、多くの人は「大きいメロン」を連想するかもしれない。

だが、もちろんそうじゃない。

 

「デカ」というのは、言うまでもなく「10」のことである。例えばメートル法でも

「mm」(ミリメートル、1/1000)、「cm」(センチメートル、1/100)、「dm」(デシメートル、1/10)、「m」(メートル)の次は、dam」(デカメートル。1dam=10m)となっている。(その次がhmヘクトメートル、その次がお馴染みのkmkキロメートル。)

 

「メロン」が表すものは少し不可解だが、「デカメロン」Decameronは、ギリシャ語の「10日間」deca hemeraiを語源とするという。hemeraiが、なにかしらの変形の結果meronになったのだろう。

 

こうして、日本人には珍妙にも思える「デカメロン」という題名が生まれたのである。

デカメロン」の物語とは

さて、デカメロンの「デカ」(=「10」の意)には、もちろん意味がある。

 

この「デカメロン」は、10人の男女によって、毎日1人づつ10の物語が話される、という形式の短編集だからである。「デカ」には、「10日」という意味も、「10人」という意味も込められている。

結果として、「デカメロン」全体は10×10で100の短編から構成される短編集となっている。イタリア版「百物語」である。

また、「デカメロン」は独立した短編集ではあるのだが、物語の合間に10人の動静が少しづつ記述されることによって、一つの物語としての構成も持っている。

 

ーーその物語こそが、今回「デカメロン」を紹介した理由とかかわる。

 

この物語は、伝染病から逃れてきた男女によってなされる暇つぶしだからである。

デカメロン」が成立したのは14世紀中葉、ちょうどペスト(黒死病)Black Deathが猛威を振るっていた時期である。

10人は、都市フィレンツェから隠遁し、共同生活を送る。そこで10人によって物語がなされるのである。

 

話される物語は、古典的な、登場人物が知恵を働かせる物語が多い頓智とか、絶妙な切り返しで相手を黙らせるとか、そういう話である。

日本でいう説話集みたいなものである。笑いあり、キリスト教的世界観ありの話の数々である。ーーと言ったが、実はエッチな話も多いのでそんなことを言ったら本当に敬虔なクリスチャンの方には怒られてしまうかもしれない。

 

すべて読破するのには結構根気がいるが、なにしろ14世紀に成立した作品である。そう考えればクオリティは非常に高く、ボッカチオの凄さが理解できる。

さらに後世に与えた影響も踏まえると、読んでおくと教養人ぶれる作品の一つである。

短編を暇つぶしに読むには、非常にちょうどいい作品であると思う。

 

デカメロン」登場人物

10人のストーリーテラーを紹介すると、以下の通りである。

ディオネオ

…作者ボッカチオ本人が自身を作品中に投影した姿と言われている。1日目以外は、一日の最後10番目の物語を担当する。彼は10人で一番の知性を持っている存在であり、それゆえに一人だけ自由なトピックの話をする特権を認められている。

パンフィロフィロストラート

...3人の男性のうちの2人。女性を守る役目も持っている、信心深い騎士。

パンピネア

...一番年長の女性。女性たちを率い、さらにはグループの意思決定に大きく関与している存在。

フィアンメッタフィロメーナエミリアラウレッタネイフィレエリザ

...7人の女性の内の6人。敬虔なキリスト教徒で、上流階級の娘。

4/20追記:私などは外出をずっと自粛して家族にしか会っていないので、女性7人に囲まれて過ごしているディオネオたち男性陣が羨ましくなってきた......

Kindle Unlimitedで「デカメロン」を読む

このブログでも時折紹介しているが、Amazonには「Kindle Unlimited」というサービスがあり、こちらのサービスに登録すれば「デカメロン」の前半は読むことができる。

前述のようにすべて読むのは非常に根気がいる本だから、前半部くらいでも読んでみるというのが現実的だと思う。

デカメロン I

デカメロン I

 

KindleスマホやPCのKindleアプリからも読むことができるので、実は簡単に楽しむことができる。

この機会にKindle Unlimitedを体験してみるというのはいかがですか?

 

そして、デカメロンを実際に気に入ったら紙の本でも購入すればいいのではないだろうか。

 

Kindle Unlimitedにはこちらから登録できる。初回30日無料(記事投稿時点)

終わりに

Twitterでは、「#外に出られないなら本を読めばいいじゃない」なんていうハッシュタグが、主に出版社のアカウントの間でプロモーションされている。

twitter.com

コロナウイルスの影響下でも、出勤などをしなければならない方々には心より同情と、仕事への敬意を申し上げる。

だが、もしコロナウイルスからの隠遁生活を送るなら、「デカメロン」を読んでみませんか? さらには、色々な本を読んでみませんか?

 

不幸を好機に変え、名作への出会いをなしとげませんか? というのが、今回の記事であった。これを機会に興味を持っていただければ幸いである。

デカメロン 上 (河出文庫)

デカメロン 上 (河出文庫)

 
デカメロン 中 (河出文庫)

デカメロン 中 (河出文庫)

 
デカメロン 下 (河出文庫)

デカメロン 下 (河出文庫)

 

▼関連記事

▼東洋の短編集ならこれがお薦め