不眠の子守唄

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5G、AI、ビッグデータはビジネスの「基礎教養」だ!ー山本康正『次のテクノロジーで世界はどう変わるのか』書評

山本康正「次のテクノロジーで世界はどう変わるのか」を読んだので、感想を記す。

次のテクノロジーで世界はどう変わるのか (講談社現代新書)

次のテクノロジーで世界はどう変わるのか (講談社現代新書)

 

この本の概要

この本は、銘打たれているように「これから必須のテクノロジーの基礎教養」を記した本であり、一般のビジネスマンが

「いわゆるGAFAといった巨大IT企業が何をしているのか」

「AI、5G、ビッグデータなどの技術がどのようなもので、どのように相互に関わっているのか」

を理解できるように、わかりやすく解説した本である。

本書の立ち位置は入門書である。 

 

著者の山本氏は、

京大→東大院(理系)→アメリカの金融機関→ハーバード院(理系)→グーグル→ハーバード客員研究員など

という華麗な経歴の持ち主である。著者は日本経済新聞でも連載をしている。

 

以下、この本で気になった点と感想を記していきたい。

 

テクノロジーのトライアングルの構図

この本の優れている点の一つは、次世代のテクノロジーの代表格であるAI、5G、クラウドビッグデータなどといった技術が、どのように相互に連関しているのかを分かりやすく解説しているところにあるのではないかと思う。

 

▼図式は帯に書いてある通り

次のテクノロジーで世界はどう変わるのか (講談社現代新書)

かなり簡潔な図式化であり、この分野に詳しい人には物足りなく感じるかもしれない。しかし、基本を押さえるという点ではよくできているし、お勧めできるものであると思う。

これからの企業の動き

著者はグーグルにも勤務した経験を持っており、グーグルのみならず他の企業の動きについてもよく目配りがされている。例えば、自動車会社であるGMやホンダが、ベンチャー企業に対してどのような動きを行っているかなど、非IT企業の動きについてもしばしば言及されているのは新しい知見を与えてくれる。

 

私が個人的に面白いと思ったのは、ネットフリックスの例である。

ネットフリックスは、今や巨大IT企業群「FAANG+M(FacebookAmazonAppleNetflixGoogleMicrosoft)」の一角として語られるようにまでなった企業である。

だが、ネットフリックスは、もともとは1997年に創業した街のレンタルビデオであった。

しかし、創業者のヘイスティングスは、2007年にブロードバンド配信に舵を切る。

これによって、視聴者がどのような動画を見ているかの「データ」をネットフリックスは得ることができた。そして、視聴者のニーズを的確に分析することによって、今ネットフリックスはそのようなデータに基づいたコンテンツを制作し、好評を集めている。

ネットフリックスの歴史を語るうえで、ネット配信に切り替えたことは画期であるが、それでけでは成長はなかった。重要なのは、ネット配信に切り替えることによってデータを得られるということに気づいたことなのである。

 

これからの企業は、データを制する者のみが生き残ることになっていく。

ネットフリックスは、うまくデータを生かすことによって成長した一例である。

 

これは、どの企業にも言えることである。今までの自分たちの事業に、どのような形で次のテクノロジーと融合させていけばよいのか、全く知識がなかったらそこに成長の芽はない。

そのような中で、データを活用するアイディアを持つために必要な前提知識こそが、筆者の言う「テクノロジーの基礎教養」なのである。

これからのビジネスパーソンの心構えを記しているのが、この本である。

次のテクノロジーで世界はどう変わるのか (講談社現代新書)

次のテクノロジーで世界はどう変わるのか (講談社現代新書)