不眠の子守唄

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【20世紀】ノーベル文学賞受賞者と、受賞理由まとめ【前編】

表題の通り、ノーベル文学賞受賞作家についてまとめてみました。

100年分はあまりに長いので、今回は1901年~1949年の20世紀前半についてまとめました。

後半はこちら。

moriishi-s.hatenablog.com

ノーベル文学賞受賞作家は(入手できる限り)全員読む」のをライフワークにしたいのだが、どれくらいの時間がかかるだろうか......

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1900年代

ノーベル賞の歴史は1901年に始まる。よって、1901年が初回受賞である。

1901年 シュリ・プリュドム(仏)

高尚な理想主義と芸術的完成度の形跡、心情と知性の両方の資質の珍しい組み合わせを与える、詩的な構成物に対して

1902年 テオドール・モムゼン(独)

彼の記念碑的著作"ローマ史"を代表作として、存命中の歴史の著作家の中では最大の巨匠であること

モムゼン ローマの歴史I―ローマの成立―
 
1903年 ビョルンスティエルネ・ビョルンソン(ノルウェー

その感化の鮮度と精神の希少な純度の両方において名高い、高貴で壮大、且つ多彩な詩に敬意を表して

アルネ (岩波文庫)

アルネ (岩波文庫)

 
1904年 フレデリックミストラル(同時受賞)(仏)

プロヴァンス言語学者としての重要な業績の他、自然景観と人々の土着の精神を忠実に反映した、彼の詩作の新鮮な独創性と真の触発に対して

1904年 ホセ・エチェガライ・イ・アイサギレ(同時受賞)(西)

独創的で個性的な手法でスペインの演劇の偉大な伝統を復活させた、数多くの鮮やかな構成物に対して

1905年 ヘンリク・シェンキェヴィチ(波)

叙事詩作家としての顕著な功績に対して

1906年 ジョズエ・カルドゥッチ(伊)

念入りな学究とその成果を評価するとともに、創造的なエネルギー、スタイルの新鮮さ、詩的な傑作を特徴づける叙情的な力に敬意を表して

1907年 ラドヤード・キプリング(英)

この世界的に有名な作家の創作を特徴づける、観察力、想像力の独創性、発想の意欲と、叙情の非凡な才能に対して

1908年 ルドルフ・クリストフ・オイケン(独)

真実のための本格的検索、思考の一貫した力、視野の広さ、表現の暖かさと強さによって、数多くの作品の中で人生の理想主義的哲学を実証したこと

1909年 セルマ・ラーゲルレーヴ(スウェーデン

その著作を特徴付ける崇高な理想主義、生気溢れる想像力、精神性の認識を称えて

1900年代の受賞者には、あまり現代の日本で有名な作家は多くないように思える。

おそらくもっとも有名なのは、キプリングとラーゲルレーフという二人の児童作家である点は興味深い。

 

1910年代

1910年 パウル・フォン・ハイゼ(独)

叙情詩人、作家そして世界的に知られた短編小説家としての長年の創作活動を通して世に送り出してきた、無上の芸術性、理想主義の浸透を賞賛して

1911年 モーリス・メーテルリンク(白)

多岐にわたる文学活動、特に戯曲の数々を評価して。豊かな想像力と詩的な空想は、時に御伽話の形を装いながらも、それぞれの作品が神秘的な方法で読者ひとりひとりの感性に訴え想像力を刺激する間、深い創造的発想を明らかにする

青い鳥 (岩波少年文庫)

青い鳥 (岩波少年文庫)

 
1912年 ゲアハルト・ハウプトマン(独)

主に、演劇の分野での豊饒で多様、且つ顕著な功績に対して

1913年 ラビンドラナート・タゴール(印)

西洋文学の一角をなす英語で思考し表現された、至極の技巧による彼の深く敏感な、鮮やかで美しい韻文に対して

タゴール詩集―ギーターンジャリ (岩波文庫)

タゴール詩集―ギーターンジャリ (岩波文庫)

  • 作者:タゴール
  • 発売日: 1977/01/17
  • メディア: 文庫
 
1914年(該当者なし)
1915年 ロマン・ロラン(仏)

彼の文学活動の高尚な理想主義に、人類の異なるタイプを描写した思いやりと真の慈愛に、敬意を表して

ジャン・クリストフ 全4冊 (岩波文庫)

ジャン・クリストフ 全4冊 (岩波文庫)

 
1916年 ヴェルネル・フォン・ヘイデンスタム(スウェーデン

我々の文学における新時代を率先的に代表する者としての重要性を認めて

1917年 カール・ギェレルプ(同時受賞(デンマーク))

崇高な理想に触発された、彼の多様で豊かな詩に対して

1917年 ヘンリク・ポントピダン(同時受賞)(デンマーク

デンマークの現代の生活の本格的な描写に対して

1918年(該当者なし)
1919年 カール・シュピッテラー(スイス)

彼の叙事詩"オリュンピアの春"に対して

1910年代前半は、タゴールロマン・ロランなど、大物登場という感がある。一方、後半はあまり現代では有名ではないように思う。

1920年

1920年 クヌート・ハムスン(ノルウェー

彼の記念碑的著作"土地の成長"に対して

ヴィクトリア (岩波文庫)

ヴィクトリア (岩波文庫)

 
1921年 アナトール・フランス(仏)

格調高い様式、人類への深い共感、優美さ、真なるガリア人気質からなる作風による、文学上の輝かしい功績が認められた。

神々は渇く (岩波文庫 赤 543-3)

神々は渇く (岩波文庫 赤 543-3)

 
1922年 ハシント・ベナベンテ(西)

スペインの演劇の輝かしい伝統を継承する、幸福な手法に対して

1923年 ウィリアム・バトラー・イェイツアイルランド

芸術性が高く精妙な詩歌によって国民全体の精神を表現した貢献に対し

対訳 イェイツ詩集 (岩波文庫)

対訳 イェイツ詩集 (岩波文庫)

  • 作者:イェイツ
  • 発売日: 2009/07/16
  • メディア: 文庫
 
1924年 ヴワディスワフ・レイモント(波)

彼の偉大なる国民的叙事詩"農民"に対して

1925年 ジョージ・バーナード・ショーアイルランド

他に類を見ない風刺に満ち、理想性と人間性を描いた作品を送り出した事に対して

ピグマリオン (光文社古典新訳文庫)

ピグマリオン (光文社古典新訳文庫)

  • 発売日: 2013/11/08
  • メディア: 文庫
 
1926年 グラツィア・デレッダ(伊)

生まれ故郷の島での生活と人間の一般的な問題を深く人工的に明快に描写した、理想的な天来の著作に対して

1927年 アンリ・ベルクソン(仏)

彼の豊かで活発な発想と、それが表現された鮮やかな技巧に対して

時間と自由 (岩波文庫)

時間と自由 (岩波文庫)

 
1928年 シグリ・ウンセット(ノルウェー

主に、中世北欧の生活についての力強い著述に対して

1929年 トーマス・マン(独)

主に現代の古典としての認識を広く得た傑作『ブッデンブローク家の人々』に対して

ブッデンブローク家の人びと〈上〉 (岩波文庫)
 
魔の山(上)(新潮文庫)

魔の山(上)(新潮文庫)

 

1920年代は、有名どころが多い。というのも、「詩」によって受賞した人物が少ないからであろう。以降も比較的「詩」によって受賞する人物は、1910年代以前に比べると低下する。

1930年代

1930年 シンクレア・ルイス(米)

活き活きとした写実的な描写技術および機智とユーモアを伴った、新しいタイプの人物を造形する能力に対して

1931年 エリク・アクセル・カールフェルト(スウェーデン

エリク・アクセル・カールフェルトの詩に対して

1932年 ジョン・ゴールズワージー(英)

"フォーサイト物語"で頂点を極めた、優れた物語の芸術に対して

林檎の樹・フォーサイトの小春日和

林檎の樹・フォーサイトの小春日和

 
1933年 イヴァン・ブーニン(露)

散文によって古典的なロシアの伝統を継承した厳格な芸術に対して

1934年 ルイジ・ピランデルロ(伊)

劇的且つ美しい芸術を、大胆且つ独創的に復活させたこと

1935年(該当者なし)
1936年 ユージン・オニール(米)

悲劇の独創的な概念を具現化する、彼の戯曲の力強さ、誠実的さ、深い感情に対して

楡の木陰の欲望 (岩波文庫 赤 325-1)

楡の木陰の欲望 (岩波文庫 赤 325-1)

 
1937年 ロジェ・マルタン・デュ・ガール(仏)

"チボー家の人々"で、現代の生活のいくつかの基本的な側面のみならず、人間の葛藤を描いた芸術の力と真実に対して

1938年 パール・S・バック(米)

中国での農民生活の豊かで真に叙事詩的な記述と、彼女の伝記の傑作のために。

大地(一) (新潮文庫)

大地(一) (新潮文庫)

 
1939年 フランス・エーミル・シランペー(フィンランド

祖国の農民階層に対する深い理解と彼らの生き方と、自然との関係を描いた高い技術に対して

1930年代は、20年代に比べるとややマイナーな作家が多いように思えるが、ロジェ・マルタン・デュ・ガールとパール・バックが受賞した37・38年は存在感がある。

1940年代

1940年(該当者なし)
1941年(該当者なし)
1942年(該当者なし)
1943年(該当者なし)
1944年 ヨハネス・ヴィルヘルム・イェンセン(デンマーク

広い視野の知的好奇心と大胆で新鮮な創造的スタイルに結びつけられた、彼の詩的想像力の類稀なる強さと豊かさに対して

1945年 ガブリエラ・ミストラル(チリ)

その力強い動機に触発された抒情詩によって、彼女の名が全ラテンアメリカ世界の理想主義的な願望の象徴と化したこと

1946年 ヘルマン・ヘッセ(スイス)

古典的な博愛家の理想と上質な文章を例示する、大胆さと洞察の中で育まれた豊かな筆業に対して

車輪の下で (光文社古典新訳文庫)

車輪の下で (光文社古典新訳文庫)

 
1947年 アンドレ・ジッド(仏)

人間の問題や状況を、真の大胆不敵な愛と鋭い心理洞察力で表現した、包括的で芸術的に重要な著作に対して

狭き門 (光文社古典新訳文庫)

狭き門 (光文社古典新訳文庫)

 
1948年 T・S・エリオット(英)

今日(こんにち)の詩文学への卓越した貢献に対して

キャッツ (ちくま文庫)

キャッツ (ちくま文庫)

 

あのミュージカル・キャッツの原作。

1949年 ウィリアム・フォークナー(米)

アメリカの現代小説に対する、強力かつ独創的な貢献に対して

八月の光 (光文社古典新訳文庫)

八月の光 (光文社古典新訳文庫)

 

1940年代前半は戦争の影響で受賞なしが続くなどぱっとしないが、後半は怒涛の有名作家続きである。

 

このまとめが読書の道しるべになれば、幸いである。

 

▼後半はこちら

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